フィラー入り接着剤の吐出量が安定しないときに見直すべきポイント

getfat | 7月 3rd, 2026


はじめまして、生産技術コンサルタントの榊原悟です。
以前は電子部品メーカーの生産技術部門で、精密分注装置の選定や立ち上げを15年ほど担当していました。

フィラー入り接着剤を扱う現場から、こんな相談をよく受けます。
「同じ設定で打っているはずなのに、ショットごとに吐出量がばらつく」というものです。

原因はひとつではありません。
本記事では、フィラー入り接着剤特有のトラブル要因を整理し、現場で見直すべきポイントをお伝えします。

フィラー入り接着剤の吐出が不安定になる主な原因

フィラー入り接着剤は、単に粘度が高いだけの液体とは性質が違います。
フィラー粒子そのものが、吐出の安定性に影響を与えるからです。

現場でよく見られる原因は、次の4つです。

  • フィラーの沈降・偏在によるタンクやホース内の濃度ムラ
  • フィラー粒子の分散不良・凝集による粘度の不均一化
  • 高粘度材料特有の、気泡の抜けにくさ
  • ノズル内での材料の硬化や目詰まり

症状と原因の対応関係を整理すると、以下のようになります。

症状疑うべき原因
ロットごとに吐出量がばらつくフィラーの沈降・濃度ムラ
打つたびに粘度が違う感じがするフィラーの分散不良・凝集
打ち始めだけ量が少ない、または多い気泡混入
徐々に吐出量が減っていくノズル詰まり・材料の硬化

特に見落とされがちなのが、フィラーの沈降です。
比重の重いフィラーは時間の経過とともに液中で沈み、タンクやホース内で濃度分布が偏ります。

同じ設定値で吐出しても、ショットごとに実質的な粘度やフィラー濃度が変わってしまう。
これが、ロットごとの品質バラつきにつながります。

見直すべき3つのチェックポイント

原因を洗い出したところで、次は現場で確認すべき具体的なポイントに落とし込みます。

1. フィラーの均一性を保てているか

タンク内で攪拌や循環を行わずに、長時間放置していないか確認してください。
沈降が進んだ状態で吐出を始めると、最初と最後で材料の性質が変わってしまいます。

2. 気泡を巻き込む工程になっていないか

充填や攪拌の際、空気を巻き込みやすい構造になっていないかも重要な確認事項です。
高粘度材料は気泡が抜けにくく、混入した気泡がそのまま吐出量のバラつきとして表れます。

3. 装置の圧力・駆動能力は足りているか

一般的なディスペンサーの圧力・駆動能力では、高粘度かつフィラーを多く含む材料を安定して押し出しきれないケースがあります。
設定値どおりに材料が出ていかず、脈動と呼ばれる圧力変動が起きるためです。

こうした条件下では、機械的に定量を押し出すプランジャー型のポンプが向いています。
その一例が、粘度1〜1,050,000mPa・sという広いレンジに対応する高粘度のフィラー入り材料にも対応するプランジャー型ディスペンサー「P-FLOW H型」です。

最大19.6MPaまで圧力を設定できるため、フィラーの含有によって流動性が下がった材料でも、狙った量を押し出しやすくなります。
装置の選定を見直す際は、粘度対応幅と圧力設定の上限を確認しておくと判断しやすくなります。

品質基準を確認しておく意味

原因調査と装置の見直しに加えて、接着剤の品質評価そのものの基準を知っておくことも役立ちます。

日本接着剤工業会によると、接着剤の試験方法については業界団体による自主規格が複数定められています。
粘度や吐出量のバラつきを数値で管理したい場合、こうした規格に沿った測定方法が参考になります。

日本接着学会でも、粘接着技術に関する教育プログラムや技術情報が公開されています。
自社の管理基準を作る際、こうした学術団体の知見を参照するのも一つの方法です。

まとめ

フィラー入り接着剤の吐出量が安定しない場合、原因はフィラーの沈降や分散不良、気泡混入、装置の能力不足など複数考えられます。
まずは自社の工程がどこに当てはまるか、ひとつずつ確認してみてください。

原因が特定できれば、攪拌方法の見直しや装置の入れ替えなど、打てる手は必ず見つかります。
現場の小さな違和感を放置せず、早めに見直すことをおすすめします。

最終更新日 2026年7月3日 by getfat

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