土留めとコンクリート擁壁について

getfat | 4月 1st, 2021


土木・建築用語で「土留め」と「擁壁」という言葉をよく聞きますが、この2つはどう違うのでしょうか。
「土留め」というのは、崖や法面や盛土などの崩れを防ぐためにコンクリート・ブロック・石などで土の流れを留める施工のことです。
一方、「擁壁」というのは、これらの土の流れを留めるために使用される壁状の構造物のことを言います。
具体的には「L型コンクリート擁壁」などがあり、他にはコーナー対応の製品などもあります。
L字型の形状であれば底版の上に乗る土の重量が利用でき、背面の土の圧力を支える構造になっているのが特徴です。
つまり「擁壁」は崖や法面などの土の流れを留める製品のひとつであり、目的は2つとも同じといえます。
参考→打放し土留めコンクリート

土を留める製品

土を留める製品には様々なものがあります。
擁壁について考える時、大事なことは「土の圧力」・「擁壁の自重」・「上に積む荷重」・「地盤の支持力」・「地震力」などを慎重に考慮することです。
設計・施工が適切でなければ、完成した擁壁全体が動いたり転倒したりと事故にも繋がりかねません。
そんなことにならないように、施工前には擁壁の「構造計算」と「安定計算」を行います。
「構造計算」というのは、擁壁に作用する力に構造が耐えられるかどうか、使用するコンクリートの量と質、鉄筋の量などで壊れないかの計算のことです。
一方、「安定計算」というのは、滑り・転倒・地耐力が安定かつ安全なものかを計算することです。
これらの計算には定められた指針があり、安全率をクリアできるかの確認が必須となります。
「構造計算」と「安定計算」の2つをクリアできるような施工計画を立て、現場ごとに合った使用製品の形状を決めることが大切です。

擁壁の種類

擁壁の種類には「空積み式擁壁」や「練り積み式擁壁」、「重力式擁壁」や「もたれ式擁壁」などがあります。
「空積み式」というのは、ブロックや石などを積み上げて、その隙間をモルタルやセメントを使用せずに石や小さな砕石などで埋めて固定するものです。
地震などの揺れには弱く、耐久性も低いのが特徴です。
「練り積み式」というのは、ブロックや石などを積み上げて、その隙間をモルタルやセメントで充填して全体を固めることです。
途中までは「空積み式」と同じ工程ですが、耐久性には大きな違いがあります。
「重力式」というのは、横から見ると三角形のような形状の擁壁を用い、製品自体の重さで背面の土を留める施工法です。
現場打ちで工事されることが多く、背面に勾配のついた現場でよく行われています。
「もたれ式」というのは擁壁単体では自立しにくいため、地山にもたれかかるように打設施工するものです。
具体的には山岳道路の拡幅などで多く行われています。
「プレキャストL型」というのは、底版の上に積む土の重量が利用できるもので、施工が早く安全に用地の確保ができることが特徴です。

ブロック塀の注意点

「土留め」については「ブロック塀」についても注意したい点があります。
「ブロック塀」というのは、ただブロックを積んで間を繋げているように見えますが、実際は規準・規定を守って安全に造られています。
建築基準法施行令第62条の8、平成12年建設省告示第1355号を最低限厳守して造られることが定められています。
地震などの自然災害時にはブロック塀が倒れて人々に被害を与えることがありますが、あのようなことが出来る限り少なくて済むように安全であることが大事です。
上記の法令以外にも、日本建築学会には「コンクリートブロック塀設計規準」、「壁構造配筋指針」、「ブロック塀施工マニュアル」、「建築工事標準仕様書・同解説JASS7メーソンリー工事」の規定があり、施工や構造の指針となっています。
ブロック塀が我々にとって身近な存在で、それだけに一瞬で凶器になり得ることを考えると、施工の段階から安全性を確保することが何より重要です。
つまり素人がブロック塀を作ることは非常に危険です。

施工とその管理は信頼できる施工業者に依頼すること

施工とその管理は、信頼できる施工業者に依頼するのがおすすめで、ブロック建築技能士・建築施工管理技士・ブロック工事士などを介在する実績のある施工業者に頼みましょう。
ブロック塀に使われる材料には規定のものがあります。
ブロックの場合はJIS A 5406で定められている製品か、これと同等以上の品質のものです。
鉄筋については、JIS G 3112、JIS G 3117に定められているSD295A(異形鉄筋)、SDR295(異形鉄筋)以上のものとなっています。
コンクリートやモルタルは、18N/mm2(180kg/cm2)以上の圧縮強度のものと定められています。
施工の際の注意点として挙げられるのは、土留め(ブロック製)とブロック塀を一緒に造ることは危険ということです。
また、土留め(コンクリート製)の上にブロック塀を造る場合は、土留めにたて筋を十分に埋め込むことが必要になります。

まとめ

施工にあたっては擁壁工指針や、守るべき設計基準を確認し、安全な設計と工事を行うことが何より大事です。

最終更新日 2025年9月28日 by getfat

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