カーブドッチワイナリーで過ごす一泊二日の贅沢
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「新潟でワイン?」と驚く方は、まだまだ多いかもしれません。
はじめまして、トラベルライターの水野彩です。東京の旅行雑誌で7年間編集者をしていましたが、取材で何度も訪れた新潟の自然と食に惹かれ、3年前に新潟市へ移住しました。今はフリーランスとして、地方の上質な旅体験を発信する日々を送っています。
移住してから「ここに住んでいて本当によかった」と思う瞬間はいくつもありますが、カーブドッチワイナリーで過ごした一泊二日は、その中でも特別な記憶として残っています。ぶどう畑の向こうに角田山が見え、グラスにはこの土地で生まれたワイン。日常のすぐそばにある、静かな贅沢とはこういうことかと思いました。
この記事では、私が実際に体験したカーブドッチでの一泊二日を、宿泊施設の選び方からレストラン、温泉、翌朝の過ごし方まで丸ごとお伝えします。週末旅のプランを立てる際の参考にしていただければ嬉しいです。
目次
そもそもカーブドッチワイナリーとは
砂の大地から生まれた「滞在するワイナリー」
カーブドッチは、1992年に新潟市西蒲区の角田浜で産声を上げたワイナリーです。「国産生ぶどう100%のワインを造る」という、当時としては極めて珍しい志を掲げてのスタートでした。
この場所が選ばれた理由を知ると、なるほどと腑に落ちます。日本海に面した砂質土壌は水はけがよく、海から吹きつける一年中の西風がぶどうの病害を防ぎ、梅雨明け後は高い熱集積で果実の成熟を助けます。ワイン未開の地だった新潟に、このテロワールを見出した創業者たちの眼力には取材者として純粋に感服しました。
現在は19品種のぶどうを栽培しており、特にスペイン原産のアルバリーニョが看板品種です。カーブドッチの砂質土壌で育ったアルバリーニョは、ジャスミンや中国茶を思わせる独特の香りが特徴で、同じ品種でもスペインやポルトガルのものとはまるで別の表情を見せます。毎年の天候変化を受け入れて楽しむという醸造哲学も、このワイナリーらしさの一つです。
そしてカーブドッチが他のワイナリーと一線を画すのが、「滞在するワイナリー」というコンセプト。6ヘクタールのぶどう畑と5千坪のイングリッシュガーデンの中に、2棟の宿泊施設、5つのレストラン&カフェ、天然温泉、AVEDAスパまでが揃っています。ワインを「飲む」だけでなく、その世界に「浸る」体験ができる場所です。
新潟ワインコーストの中心地
カーブドッチがあるエリアは「新潟ワインコースト」と呼ばれ、個性豊かな5つのワイナリーが集まっています。新潟市公式観光情報サイト「旅のしおり」でも紹介されていますが、カーブドッチで修業した本多孝氏が2006年に開いたフェルミエ、微生物研究の博士号を持つ小林氏のハッコーショオ、「トラディショナルでエレガント」を掲げる2015年オープンのルサンクワイナリーなど、同じ砂質土壌を共有しながらそれぞれに明確な個性があります。
新潟市街地から車で約40分。「都市近郊にワインの楽園がある」という事実が、まだあまり知られていないのがもったいないくらいです。
一日目の過ごし方:チェックインからディナーまで
到着したらまずワイナリーツアーへ
チェックインは15時からですが、できれば午前中に到着して、まずワイナリーツアーに参加してみてください。ぶどう畑を歩きながら、砂質土壌のこと、醸造の工程、ヴィンテージごとの違いについて聞けるツアーで、毎日開催されています。事前にカーブドッチ公式サイトから予約が可能です。
私が参加したときは、ちょうど収穫前のアルバリーニョが黄金色に色づいていて、畑を歩くだけで心が躍りました。ガイドの方が砂を手に取って「この水はけの良さがワインの味を決めるんです」と話してくれた場面が印象的で、普段何気なく飲んでいるワインの背景がぐっと身近になる感覚がありました。ワインの知識がなくても十分楽しめますし、むしろ詳しくない方のほうが新鮮に驚ける内容だと思います。
ツアーのあとは、ワインショップで試飲を。1杯200円からと手頃なので、気になる銘柄を少しずつ試せます。クラシカルなラインだけでなく、「どうぶつシリーズ」と呼ばれるカジュアルな銘柄もあり、ラベルの動物イラストも可愛らしくてお土産にも喜ばれます。ワイン初心者でも構えずに楽しめるのが嬉しいポイントです。
ランチは5つの飲食施設から選ぶ
カーブドッチ敷地内には5つのレストラン&カフェがあります。それぞれのジャンルや価格帯がまったく違うので、気分や同行者に合わせて選べるのが魅力です。
| 施設名 | ジャンル | 価格帯(税込) | ひとこと |
|---|---|---|---|
| レストランカーブドッチ | 本格フレンチ | ランチ3,300円〜 | ぶどう畑と角田山を望むメインダイニング |
| レストラン薪小屋 | 薪焼き料理 | 2,450円〜 | 古民家×ドイツ建築の空間で豪快な直火焼き |
| レストラン湯楽 | 和食 | 定食1,400円〜 | ヴィネスパ館内。落ち着いた和の時間 |
| コテアコテカフェ | パン・軽食 | ランチセット1,850円 | 焼きたてパンとスイーツが自慢 |
| ヴィネスパカフェ | カフェ | ドリンク各種 | 朝7時から営業。4,000冊の書棚併設 |
初訪問なら、レストランカーブドッチのランチフルコース(9,900円)が間違いありません。アルバリーニョのぶどう畑越しに角田山を望みながらのフレンチは、この場所でしか味わえない贅沢です。もう少しカジュアルに楽しみたい気分なら、薪小屋もぜひ。新潟の古民家とドイツ建築を融合させた独特の空間で、薪の火を眺めながら肉や魚のダイナミックな焼き料理を楽しめます。
ディナーは宿泊プランに含まれる特別なひととき
ディナーは宿泊施設のプランに含まれています。トラヴィーニュなら洋食フルコース、ヴィネスパなら和食フルコース。どちらもこの土地の食材を主役に据えたメニューで、カーブドッチのワインとのペアリングが堪能できます。
私がトラヴィーニュに泊まったときのディナーでは、地元の野菜と日本海の魚介を使った一皿一皿に、ソムリエが合わせてくれたワインがどれも驚くほど寄り添っていました。同じ土地で生まれた食材とワイン。その相性の良さは理屈ではなく、舌が納得するものです。
窓の外はぶどう畑の暗がりで、昼間とはまた違う静けさがあります。ゆっくりとグラスを傾けながら過ごす夕食の時間は、日帰りでは絶対に味わえない贅沢です。新潟の地酒も置いてあるので、ワインだけでなく日本酒との飲み比べを楽しむのも一興です。
泊まるならトラヴィーニュとヴィネスパ、どちらを選ぶ?
カーブドッチには2つの宿泊施設があり、個性がはっきり分かれています。両方に泊まった経験から、それぞれの魅力をお伝えします。
洋の贅沢「ワイナリーステイ トラヴィーニュ」
全10室の小さなホテルで、すべての部屋に動物の名前が付けられています。全室にAVEDA製のアメニティが備わり、ディナーは洋食フルコース。ワインの世界観にどっぷり浸かりたい方に向いています。
- デラックスルーム(1名42,900円〜、1泊2食付):1階はリゾート感あふれる高い天井、2階はぶどう畑を見渡せる眺望
- プレミアムルーム(1名46,200円〜):52㎡の最も広い客室。スペイン製ヴィンテージ家具が落ち着いた雰囲気
- クラブルーム(1名38,500円〜):35㎡の2階客室。一人旅でも利用しやすい
- ドレープルーム(1名38,500円〜):キングサイズベッドに柔らかな天蓋。特別な日にぴったり
チェックインは15時、チェックアウトは11時。小学生以上のお子様も宿泊可能です。
温泉派なら「ワイナリーリトリート ヴィネスパ」
温泉をメインに据えた宿泊施設です。角田山麓の深い地層から引いた2本の自家源泉を持ち、泉質はpH9.0の強アルカリ性。「美人の湯」として知られ、入った瞬間に肌がすべすべになるのがわかります。
男女ともに大小2つの露天風呂と内湯、サウナ、水風呂を完備。庭園に植えられた落葉樹が季節ごとに表情を変え、春は新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、いつ訪れても違った風情を楽しめます。湯に浸かりながら空を見上げる時間は、本当に何にも代えがたいものがあります。
ディナーは和食フルコース。新潟の旬の食材を活かした繊細な料理で、ワイナリーの和食と聞くとミスマッチに感じるかもしれませんが、地元食材の底力を存分に味わえる内容です。館内には4,000冊の蔵書が並ぶブックラウンジやAVEDAスパもあり、湯上がりにワインを片手に本を読むという、ちょっと贅沢すぎる夜の過ごし方もここなら自然にはまります。整体やトリートメントのメニューも用意されているので、体の疲れをしっかり取りたい方にも向いています。
私の個人的なおすすめ
両施設の違いを簡単にまとめると、こうなります。
| 比較項目 | トラヴィーニュ | ヴィネスパ |
|---|---|---|
| 雰囲気 | ヨーロピアンリゾート | 和モダンの温泉宿 |
| ディナー | 洋食フルコース | 和食フルコース |
| 温泉 | ヴィネスパの温泉を利用可 | 自家源泉2本の天然温泉を完備 |
| 価格帯(1泊2食付) | 38,500円〜46,200円 | 公式サイトで要確認 |
| おすすめの方 | ワイン好き、記念日、初訪問 | 温泉好き、リピーター、一人旅 |
初めてなら、トラヴィーニュを選んでほしいというのが正直な感想です。ワイナリーに泊まるという非日常感をより強く味わえるのはこちらだと思います。一方、温泉好きの方やリピーターなら、ヴィネスパの「何もしない時間」の心地よさは格別です。どちらを選んでも、「また来たい」と思うことだけは保証します。
二日目の朝:温泉、パン、ワインコースト散策
pH9.0の美人の湯で目覚める朝
ヴィネスパの温泉は宿泊者以外にも日帰り利用が可能ですが、宿泊者の特権は何といっても朝風呂です。朝の露天風呂は人が少なく、角田山の稜線が朝日に照らされる景色をほぼ独り占めできます。にいがた観光ナビでもカーブドッチの施設は紹介されていますが、この朝の贅沢だけは泊まらないとわかりません。
トラヴィーニュ宿泊の場合でも、ヴィネスパの温泉は利用できます。朝食前にひと風呂浴びて、すっきりした状態でコーヒーを飲む。それだけで「来てよかった」と思える朝です。
焼きたてパンとワインコースト散策
チェックアウトは11時。朝食のあと、コテアコテカフェの焼きたてパンをテイクアウトして、ぶどう畑のあいだを散歩するのが私の定番コースになっています。朝のぶどう畑は空気が澄んでいて、前日のワインの余韻と相まってなんとも言えない幸福感があります。
時間に余裕があれば、隣接するフェルミエやルサンクワイナリーにも足を延ばしてみてください。同じ砂質土壌を使いながらまったく違うアプローチでワインを造っていて、飲み比べるとこの土地の多様性と奥深さが見えてきます。フェルミエは南フランスの民宿を思わせる建物が素敵で、レストランでのワインペアリングランチも評判です。
帰り際にワインショップでお気に入りの一本を買って帰るのもお忘れなく。自宅で飲むと、ぶどう畑の風景が不思議と蘇ってきます。
カーブドッチをもっと楽しむためのヒント
季節ごとの楽しみ方
カーブドッチは季節ごとに表情を変えます。
- 春(4〜5月):ぶどうの新芽が出る季節。イングリッシュガーデンも花盛りで散策が気持ちいい
- 夏(6〜8月):ぶどう畑が青々と茂る最も美しい時期。角田浜の海水浴もセットで楽しめる
- 秋(9〜10月):収穫シーズン。ワインフェスタなどのイベントも開催される
- 冬(12〜2月):人が少なく、温泉が際立つ季節。雪景色の中の露天風呂は格別
個人的には、ぶどうが実る秋と、静けさを味わえる冬が好みです。
アクセスと予約のコツ
カーブドッチは新潟市西蒲区角田浜1661にあります。
- 新潟駅からJR越後線で内野駅へ(約25分)、そこからタクシーで約20分
- 内野駅からの無料送迎バスあり(前日までに要予約、電話0256-77-2226)
- 車なら北陸自動車道・巻潟東ICから約15分
- 新潟空港からは直行タクシー「新潟ウエストコーストライナー」も便利(片道3,000円、約65分)
- 宿泊予約は公式サイトがベストレート保証
- レストランカーブドッチは特に週末のランチが埋まりやすいので早めの予約がおすすめ
東京からなら上越新幹線で新潟駅まで約2時間。金曜の夜に出発して土日をカーブドッチで過ごすプランも十分現実的です。
まとめ
カーブドッチワイナリーは、「ワイナリーに泊まる」という体験そのものが目的地になる場所です。砂質土壌が育むアルバリーニョのワイン、ぶどう畑を眺めながらのフレンチ、pH9.0の天然温泉、4,000冊の書棚。一泊二日で味わえる贅沢の密度が、正直ちょっと尋常ではありません。
新潟には、東京から新幹線でわずか2時間という距離に、こうした上質な体験がいくつも隠れています。新潟のハイエンドな体験スポットをまとめて紹介しているこちらのアカウントにも、カーブドッチはもちろん、佐渡島のプライベートツアーやSnow Peakのスパリゾートなど、地元目線の情報が揃っています。
日常から少し離れて、ぶどう畑に囲まれた一泊二日を過ごしてみてください。帰りの新幹線で、きっとまた行きたくなっているはずです。
最終更新日 2026年6月1日 by getfat







